敵ではない。味方でもない。
それでも、少なくともこれは分かる。
俺は、俺たちは────
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「ん…」
外と内を分ける窓、それに掛けられたカーテンの隙間から光が差す。
「今は...6時か、診空は起きてないな…」
枕元に置いてある小さな時計を見ながら体を起こす。
服を着替え、目を擦りながら洗面所を向かい、ドアを開ける。
洗面所に着けばまず手を洗い、
次に両手で椀を作って水を貯める。顔に飛び散らない程度にかけ、目を覚ます。
「髪は…まぁいいか」
洗顔をしてからテキトーに櫛で梳かし、次に口の中を水と歯磨きブラシを使って洗う。
ちなみにコップの色はそれぞれ空劇が青で診空が黄色である。
「よし、スッキリ。」
次は朝食作り。
日差しを浴びながら階段を降り、キッチンへ向かう。朝ごはんは空劇が作る…いや、飯は基本的に空劇の担当だが。
「うーん···今日はパンかな」
まな板、包丁、フライパン...調理器具を用意した後、冷蔵庫から食材を取り出し、料理を作る。
野菜を程よく切り、全体にかかるようにドレッシング。目玉焼きとハムを同時に焼きながら食パンをトースターに入れる。
すると約10分程度で栄養バランスがよい朝ごはんを作ることが出来る...
あぁ、ヨーグルトか牛乳を追加し、パンと一緒に食べるのもまた良いだろう。
今回は後者の牛乳の方を選ぶ。
「診空、ご飯出来たよー」
「やったー!ありがとねー!」
診空が料理の香りで調理中に部屋から起きて顔を洗い降りてくるのは空劇も確かに想定済み、想定済みだが…
「コラ、危ないからいつも吹き抜けじゃなくて階段で降りなさいって言ってるでしょ?」
「アハハ、ごめんねお兄ちゃん」
にへらと笑ってごまかす診空を横目にダイニングに食器と料理を用意する。
そして二人共席に座って手を合わせ…
「「いただきます。」」
いただきます。
◇◇◇
「お兄ちゃん、今日からの旅行って何時からだっけ。」
「ん、大体12時からだね。ただ飛行機がそれなだけで出発時間はもっと早い。」
スマートフォンを片手に飯を食パンを咥えながら話す。今日から数週間ほど旅行として福岡に一度休暇で帰ってきている両親に会いに行くのだ。
「にしても、なんでお父さんたちから東京の空港に来ないんだろう?」
「なんか母さんは『せっかく一旦帰るんだから旅行気分ってのも良いじゃない?』って。」
「へぇ~、やっぱり私達の両親って変わってるね。」
別に診空が言えたことでは無いのだが、それは置いておく。旅行の準備は3日前から済ませている、あとは間に合うように出発するだけだ。
現在はフリーのエネミー狩りとして生計を立てている自分達からすれば休みと平日はあってないようなもの。
で、あるからして簡単に長期の旅行の計画を建てられるのだ。
◇◇◇
現在時刻10時丁度。
「ちょっと早いけど、鍵とかのチェックも済んだし行こうか。」
「いぇーい!」
2階のバルコニーに二人で立ち、翼を顕現させる。
風の強さと向きも良好、元々その程度で左右される異能の翼ではないが…気分の問題だ。
「さ、行こうか。」
「うん!」
翼で飛ぶこと数十分、無事に空港へ到着。
少々風が強かったが、それでも無視できた程度だった。
「さ、ちょっと早く着いたし、ゆっくりできそうだね。」
「うん!まずは飛行機で食べるもの買いに行こー!」
というわけでコンビニや弁当屋に行き、買う。
まぁなんというか定番というものはあるわけで、
おにぎりにサンドイッチ、そして空弁。
このラインナップとなった。
「美味しそうなお弁当だね〜」
「飛行機内、隣の席だから二人で分けて食べようか?」
「いいじゃん!そうしよ!」
ニパッー、と。
そう満面の笑みを浮かべながら診空は空劇と共に歩いてゆく。
現在時刻10:50、12時頃に行くのでまだ少し時間がある。
「ちょうど30分ぐらい⋯本でも読んでおこうかな?」
「私はイヤホンつけて音ゲーしとくー。アラームもかけとくから時間になったら行こっか。」
「ありがとう⋯どの本読もうか⋯」
そうして暇をつぶすこと30分。
ちなみに空劇が読んでいた本は【雪国】。
「お兄ちゃん、そろそろだよー!」
「ん、わかった⋯荷物は── あるね、それじゃ行こう。」
そして荷物を預けたり諸々の手続きを済ませ、いざ飛行機内へ。
「席は⋯ここだね。」
「機内じゃ寝る人もいるから、静かにしてね。」
「大丈夫、私も後半はその一人だから。」
「なら昼食まで気をつければいいか、座ろう。」
そうしてシートベルトを着用、持ってきた荷物を置く。
空劇が本を取り出し、診空が再び昼食までのアラームをかけてイヤホンをつけ、液晶をいじる。
(映画でも見るのかな⋯)
そう思いつつ視点を落とし、集中するのだった⋯
ちなみに診空が聴いてたのは空劇のASMR(本人渋々許可済み)。なんでここ??????
◇◇◇
診空に声を掛けられて昼食を取り、再び本を読もうとした時。
「ねぇお兄ちゃん、子守唄歌ってよ」
「頭でもおかしくなったの?」
「おかしくなってるのは確定なんだね。いやさ、座ってる状態って結構寝るの大変でしょ?」
「だからといって機内だし歌うわけにはいかないでしょ、それに前音声データ渡したでしょ」
そうして呆れながらも視線を戻そうとした時⋯
「データじゃ満足できないんだよね〜」
なにやらSFチックなマスク。ケーブルの先にはいつの間にか接続されたヘッドホン。
それが診空の耳に装着されている。
「⋯これ、どこで?」
「異産」
「ッハァ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いいよ」
「随分悩んだね」
「当たり前でしょ。まったくもう⋯ん?」
診空が目を閉じて背もたれに身を預けたところで
渋々マスクを装着すると声がかなり小さくなる。
(⋯なるほど。)
「ねんねんころりよ おころりよ⋯」
◇◇◇
「⋯診空、起きて。」
診空が寝た後にヘッドホンと自分のマスクは外して本を読んでいた空劇。
そろそろ時間になることに気付き、診空の肩をゆする。
「ん⋯おはよう」
「はいおはよう。もうすぐ着陸だよ」
「はぁい」
◇◇◇
「よし、無事に到着。」
そんなこんなでやってきてしまった福岡。
両親は、暁光父さんと永落母さんはどこだろうか⋯