おぉ、そうか。
良いことだと俺は思うよ。
私はそういうものが好きなんだ。
え?僕?ああ、それは────
──────────────────
朝、ホテルにて⋯
「昨晩はおたのしみでしt」
「何もなかった、いいね?」
珍しく先に起きていたのか賑やかな診空。
手で口を塞ぐ⋯吸うなよ?ゼッタイ吸うなよ?
「もごごごご、それなんかあった時のやつじゃ」
「(呆)」
もう埒が明かないので洗面所へ向かう⋯
深夜テンションって恐ろしいね。
顔を洗ったり髪を整えたり⋯服もこっちで着替える。
歯磨きとかは自分のセット持って来る派。
「うん、サッパリ。」
そうして洗面所を出てから部屋を出る準備。
さて、今日の予定は⋯
「まずはチェックアウトして朝ご飯を食べてから別荘⋯それからは⋯」
「お兄ちゃん、朝ごはんはどこにするの?」
続きを確認しようとすると、診空が顔を出してそんなことを言ってくる。
⋯まあ確かにお腹減ってるだろうしね。
「今日はあの某ドカ盛り喫茶店に行くつもりだよ」
逆写真詐欺と称されるサービス精神旺盛な店⋯
朝からはキツイと思うだろう?シェアなら問題ないのさ。
「いいじゃん!あそこなら朝から元気出そうだね〜!」
すでに元気では?という疑問は重箱の隅を押し込むように消す。
◇◇◇
チェックアウトを済ませてから幾許か立ち、現在店の中。
「いらっしゃいませ、おはようございます!」
店員の歓迎ともに二人が席に座ると、冷えたおしぼりが運ばれてくる。
「注文、何にする?多分一人だと食べきれないからシェアになるけど」
「う〜ん⋯まぁモーニングかな!」
「わかった、じゃあ俺はブレンドを頼むよ。」
「私はアイスオーレ!」
そうして注文して少し待つと運ばれてくるモーニング料理。
空劇がローブパン(おぐらあん)にバター、
診空が山食パン(ゆで卵)にいちごジャムだ⋯
ちなみにどちらにも自家製コールスローサラダをサイドメニューで注文した。
「うん、やっぱり早くて良いね。」
「でっか!」
何度か来たことがあったのか、空劇はあまり驚いていない。
診空は初めてのようで、目を輝かせている⋯写真詐欺が軽めだからだろうか。
「じゃ、食べるとしようか。」
「うん!」
「「いただきます」」
これは忘れない。
◇◇◇空劇
湯気を立てるブレンドの隣で、丸いローブパンが誇らしげに胸を張っている。シロノワールのデニッシュ生地を練り込んだというそのパンは、手に取ると驚くほど熱々で、内側には溶けかかったバターがじゅわりと染み込んでいた。
まずは別添えのおぐらあんをパンの裂け目に押し込む。
口を開けてかぶりつくと、バターの塩気とあんこの濃厚な甘みが温かい生地の中で渾然一体となった。
そこへすかさずコーヒーを流し込む。重厚な苦味が甘さを引き立て、喉を通るたびに幸福感が増していく。
「美味しい⋯」
口直しにコールスローサラダを一口。シャキシャキとしたキャベツの清涼感と、控えめなドレッシングの酸味が、甘くなった口内を鮮やかにリセットしてくれる。
「ん、これはいい。」
◇◇◇診空
カラン、と重厚なステンレスジョッキの中で氷が鳴った。
たっぷりサイズのアイスオーレ。
ミルクの白とコーヒーの茶色が混ざり合うその液体は見ているだけで喉の渇きを癒してくれる。
厚切りの山食パン、表面には鮮やかないちごジャムがたっぷりと塗られている。
サクッという快音とともに、ジャムのフルーティーな香りが鼻に抜けた。
(このジャムトーストは、お兄ちゃんが毎日作ってくれるような「理想の朝食」の味がする。)
傍らには、殻を剥いたばかりのツルリとしたゆで玉子。
トーストを半分食べ終えたところで、コールスローをパンの上に乗せてみる。
即席のサラダパンだ⋯いちごジャムの甘みとコールスローの酸味、
そしてゆで玉子の素朴な味わい。
バラバラなようでいて、不思議と調和するこの賑やかさが、元気を出したい朝にはよく似合う。
◇◇◇
「「ごちそうさまでした」」
いつの間にか食べ終わっていた二人。
結構な量があったはずだが、それでも綺麗に完食したようだ。
「美味しかった!」
「うん、伝票を渡しに行こうか。」
会計を済ませ、退店しようとした時後ろから
「またどうぞ」 という声が聞こえてくる。
振り返って二人でにこやかに返事、良い朝食となったようだ⋯
◇◇◇
長期旅行といえば現地の雰囲気をゆったり堪能すること。
それにぴったりなのが⋯この別荘。
「少し整頓されてたりはするけど、昔の家のままだな⋯」
「昔って言ってもだいたい1年ぐらい前なだけだけどね〜」
ちなみに父さんたちが月1ぐらいで来てるのでセカンドハウスという扱いになっている。
掃除がされている要因にはそれもあるのだろう⋯
「早速荷物を⋯って、これは?」
「どしたのお兄ちゃん?」
不自然な置き手紙。父さんたちのものだろうか⋯
手にとって開けてみる。
『や、空劇くん。それに診空ちゃんも。』
突如、後ろか前か、はたまた脳内なのかわからない位置から話しかけられる。
いままで聞いた誰の声ともはっきりしない、ただそこにあるのは"違和感"のみ。
「──ッ!?」
違う、これは違う。
敵意は感じられない、診空は⋯
「手紙、何これ⋯14:30?」
とりあえず無事⋯って、これは⋯
『その時刻については俺から説明しよう。』
敵意どころか、少し和むような、そんな優しげな声。
だが、決して油断ができない⋯思わず背筋が凍る。
「いや、なんとなく分かる。多分この時間にここにいろってことでしょ?」
警戒は解かないが、それはそれとして対話を続ける。
情報を得なければならない、
『そういうこと、理由も知りたい?』
「いや、大丈夫。」
相手の声色が変わった、あれこれもしかして、あの時の⋯
「へぇ、じゃあ従ったら面白いことになるってこと?」
『そうだよ、俺の話はいつも面白かったろう?』
「診空はあの時聞いてなかったよ、八空さん。」
『おや、そうだったかな⋯まあいいか。』
『それとテーブルの上にお届け物もあるからよろしくね。』
そう言って声が切れる。
「⋯お届け物?」
振り返るとそこには先程までなかった謎の⋯石?
診空も気付いていなかったようだ、びっくりして壁に頭をぶつけている⋯なんで?
⋯石に再び視線を向ける。
なにか、「触れろ」と。そう言われている気がする⋯
そうして、石を手に取ってみた時。
一気に、あの異能を使う時に操る───異能力が流れ込んでくる感覚がする。
「こ、れは⋯」
確か、星座異能───
◇◇◇
それからしばらくして、いろいろ情報を整理してみる。
疑問が結構浮かんだからだ⋯診空とかなんもわかってないみたいだし。
「まず、俺達の昔住んでいた家に来た。」
「懐かしみを感じる場所だよねぇ」
まぁ、離れてからまだ一年弱ぐらいではあるが⋯
気にせず次を確認。
「次に、家で謎の手紙を見つけた。」
「お母さんたちの置き手紙かな?って思ったんだけど⋯」
いちいち反応しなくて良い、と釘を刺す。
「そして読もうとしたら謎の声が響いて14:30には家にいろ、と言ってきた。」
「それから振り返るとテーブルに星座異能───おそらくぼうえんきょう座───が確認された。」
「最後に今、星座異能の性能を確認してからまとめている⋯」
うん。おかしい。
そう考えて頭を悩ませていると⋯
「ま、せっかくの長期旅行なんだしさ、あんまり深く考えても仕方ないでしょ〜」
「今は14:30に起きるっていう楽しいことを待とーよ?」
気楽に背伸びをしながら俺にそんなことを言ってくる診空。
⋯確かに、それも一理ある。
「まずはそっちを待とうか⋯それで情報が手に入るかもだし。」
そうして、二人はその時刻に起きるという"何か"を待つのだった⋯
─────────────メメタァァァァァァァ──────────────
・日常ロールが長い?すみません(反省)
・途中の店はコ◯ダ珈琲店が元ネタです美味しかったです(完食)
・だんだん文字数増えてません?